「あなたの理想のタイプは?」
そう聞かれて、すらすら答えられますか。私は長い間、答えられませんでした。「優しい人かな」なんて言いながら、それが本音なのか、そう答えるのが無難だからなのか、自分でも分からなかったんです。
理想を直接聞かれると、人は建前が混ざります。「こう答えるべき」という世間の型が、先に口から出てしまう。
でも、最近気づいたことがあります。
萌えは、嘘をつけない。
好きなキャラ、心が動く物語、たまらないカップリング。ああいうものへの反応は、取り繕う暇もなく体から出てくるので、建前が混ざりようがないんです。だとしたら、自分の萌えを整理すれば、自分でも気づいていなかった本音が掘り出せるはず。
実際にやってみたら、想像以上のものが出てきました。この記事では、その方法——萌えポイントの3層棚卸し——を、私自身の実例つきでご紹介します。
萌えの3層棚卸し:キャラ・物語・カップリング
やり方はシンプルです。自分の「好き」を3つの層に分けて、それぞれ書き出してみます。
- ① 好きなキャラ単体 → 「どんな自分でありたいか」が映る
- ② 好きな物語の型 → 「どんな人生を生きたいか」が映る
- ③ 好きなカップリング(関係性) → 「どんな関係の中で生きたいか」が映る
ひとつずつ、私の実例で見ていきます。
① 好きなキャラには「なりたい自分」と「許されたい自分」が映る
私が好きになるキャラは、昔から決まっています。クセが強くて、頑固で偏屈なのに、自信があって気が強いキャラ。あとは、知性で戦うキャラです。
なぜか考えてみたら、理由がありました。私自身、頑固なところがあって、現実ではよく怒られるんです。つまり私は、自分の中の「怒られてきた部分」を、堂々と貫いて生きているキャラを応援していた。フィクションの中で、自分の代わりに名誉回復をしてもらっていたんですね。
逆も分かりました。私は無邪気で子どもっぽいところをコンプレックスに思っていて、だからそういう属性のキャラはあまり好きじゃない。面白いのは、その無邪気さは、実際の人間関係ではむしろ愛されている部分だということです。他人に愛されていても、自分が受け入れていない部分を体現するキャラは、鏡すぎて楽しめない。
好きなキャラは「なりたい自分」を、苦手なキャラは「まだ受け入れていない自分」を教えてくれます。
② 好きな物語には「生きたい人生の型」が映る
私が好きな物語は、温かい心の人が、力ではなく知恵で道を切り開く話です。
軍師や策士が活躍する話が好きで、腕力で解決する話は途中で見なくなってしまう。同じ「賢い主人公」でも、冷たく人を出し抜く話は嫌で、優しさを失わずに頭を使う話がいい。
これはそのまま、私が生きたい人生の型でした。私は体力に自信がないので、量や勢いで戦う生き方はできません。考えて、設計して、工夫で勝つ。でも人を蹴落とすのは嫌。——好きな物語の条件が、自分の人生の理想と完全に一致していたんです。
あなたが何度も見返す物語は、どんな型をしていますか。逆転劇? 成長物語? 静かな日常? そこに、あなたの望む人生の形が隠れています。
③ 好きなカップリングには「結婚観の本音」が映る
ここが一番の収穫でした。
私が好きな関係性は、はっきり傾向があります。王女と、王女に仕える騎士。活躍するお嬢様と、補佐する執事。女社長と、支える男性秘書。天才少女と、彼女の才能を誇りに思う男の子。
お姫様が王子様に守られる話には、昔からあまり心が動きませんでした。私が好きなのは、女性が主役として活躍して、男性がそれを誇りに思いながら支える関係だったんです。
これに気づいたとき、過去の恋愛の違和感の正体が分かりました。私の頑張りや成果に対して、喜ぶどころか不機嫌になる人と付き合っていた時期があって、ずっと苦しかった。あれは、私の求める関係の構造と、相手の求める構造が、根本から食い違っていたんですね。
「好きなタイプは?」と聞かれて答えられなくても、「好きなカップリングは?」なら答えられる人は多いはず。そしてそちらの方が、よほど正確にあなたの結婚観を映しています。
「推しがいない」のにも理由がある
ちなみに私には、アイドルの推しがいません。長年、ちょっとした引け目でした。友達が楽しそうに推し活の話をしていても、入れなかったので。
でも、3層棚卸しをして分かりました。私は顔や歌に萌えるのではなく、関係性に萌えるタイプだったんです。アイドルは、完成された個人を一方向に愛でる文化なので、関係性萌えの人には萌えの発生装置がそもそも作動しない。ドラマの中の関係性に萌えても、俳優自身は推しにならないのも同じ理由でした。萌えの対象が「関係という構造」だから、演じている器には転移しないんです。
推しがいないのは、感受性が乏しいからではありません。萌えの対象が、単体ではなく関係にあるだけ。同じように感じてきた方がいたら、安心してください。
萌えを婚活に活かす:入口と定住地の話
さて、ここからが実用編です。萌えの自己理解は、婚活でかなり役に立ちます。
私の周りの、結婚がうまくいった人たちを思い返すと、面白い共通点があります。みんな、入口は割となんでもいいんです。
- メガネの男性が好きで、メガネ萌えを入口に出会って結婚し、楽しく暮らしている人
- 年収を大切に相手を選び、そこから関係をきちんと育てた友人
- 安定した職業の男性と出会うために、勤め先ごと選びに行った友人
- 同業種の婚活の場で出会った親戚
メガネも、年収も、安定も、顔も——入口の役割は、相手を好意的に見始める理由の提供です。好意的に見るから良いところが目に入り、関係が育ち始める。
でも、続くかどうかを決めるのは入口ではありません。入口から入った後に、関係性を育てたかどうかです。うまくいっている夫婦は、みんな入口の先で関係を育てている。破綻するのは、入口の条件(年収や顔)だけを愛し続けて、関係の定住地に引っ越さなかった場合です。
ここで、3層棚卸しの③が効いてきます。自分が求める関係の構造を先に知っていれば、入口で選んだ相手と、その構造を築けそうかを、交際の早い段階で確かめられるからです。
私の場合なら、確認することはひとつ。この人は、私の頑張りや成果を聞いて、嬉しそうにするか。それとも張り合ったり、不機嫌になったりするか。デートを数回すれば観察できます。条件表の「優しい人」よりも、ずっと具体的で、ずっと見極めやすい。
萌えの解像度は、そのまま婚活の解像度になる
「心の広い人がいい」「価値観の合う人がいい」——婚活でよく聞く希望ですが、これでは仲人さんも紹介のしようがありません。
萌えの3層棚卸しをすると、この解像度が一気に上がります。私の場合、「優しい人がいい」が、最終的にはこうなりました。
「私の活動を誇りに思って、応援してくれる人。」
たった一行ですが、この一行は選別に使えます。プロフィールに書けば、それを読んで覚悟した人だけが近づいてくる。会えば、数回の会話で確かめられる。萌えの言語化は、遊びのようでいて、実は人生で一番実用的な自己分析かもしれません。
自分の本音がわからなくなったら、履歴書やモチベーショングラフより先に、本棚と視聴履歴を見てみてください。あなたが何に萌えてきたかの記録は、あなたが何を望んできたかの、一番正直な記録です。
自己理解をもっと深めたい方へ。私は占いの本も「自己理解のフレームワーク」として使っています。萌えの棚卸しと合わせると、自分の輪郭がさらにはっきりします。
婚活を考え始めた方へ。求める関係の構造が言語化できたら、それを最初から仲人さんに伝えられる結婚相談所は、関係性萌えの人と相性のいい仕組みです。
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