仕事と子育てを両立するいちばんの近道は、「一人で頑張ること」ではなく「上手に頼ること」だと私は思っています。
祖父母、ご近所さん、ファミサポ、ベビーシッター、家事代行、時短家電、宅食やミールキット。令和の今は、頼れる先が昔よりずっと増えました。ただ、どれか一つで全部をまかなえるものはありません。いくつも組み合わせて、手配して、きちんとお礼をする。この「支援を受け取る力」を受援力(じゅえんりょく)といいます。
この記事では、受援力とは何か、どんなサポートがあるのか、どう組み合わせればいいのかをまとめました。
受援力とは?「頼れる人」は自立していないわけではありません
受援力とは、困ったときに「助けて」と言えて、差し出された支援を素直に受け取れる力のことです。もともとは災害支援の分野で使われてきた言葉ですが、子育てや介護にもそのまま当てはまります。
シンデレラは受援力の達人でした
思い出してほしいのがシンデレラです。継母や義姉たちからつらい扱いを受けていたのに、魔法使いが現れたとき、彼女は遠慮して断ったりしませんでした。ドレスもかぼちゃの馬車も受け取って、舞踏会に出かけています。
「私なんかが」と思ってもおかしくない環境で、差し出された手をちゃんと取れた。これは本当にすごいことだと思います。
頼れないと、使える支援まで遠ざけてしまう
逆に、「迷惑をかけてはいけない」「自分でなんとかしなきゃ」という気持ちが強すぎると、使える制度やサービスがあっても手を伸ばせません。本来受け取れるはずの公的な支援を、自分から遠ざけてしまう人もいます。頼れないことで、状況がどんどん苦しくなってしまうのです。
誰でも、いつかは頼る側になります
年を重ねれば、いずれ介護を受け入れる日が来ます。何でも一人でこなす力も大切ですが、生きていくうえでは「上手に頼る力」のほうが長く役に立ちます。子育て期は、その練習のチャンスだと考えてみてはいかがでしょうか。
令和に頼れるサポート一覧
頼り先は大きく「人」「制度」「お金で買えるサービス」「モノ」の4つに分けられます。得意分野がそれぞれ違うので、苦手を補い合うように選ぶのがコツです。
| サポート | 向いていること | 目安・注意点 |
|---|---|---|
| 祖父母 | 急な発熱時の預かり、送迎、夕食づくり | 一人に集中させず、複数人で分担すると長続きします |
| 同じアパート・ご近所 | 「ついでに買ってくるものある?」の買い物協力 | お互いさまの関係にして、こちらからも声をかけましょう |
| 近所の子育て世帯 | たまに子どもを預かりあう | 事前にアレルギーや連絡先を共有しておくと安心です |
| ファミリー・サポート・センター | 幼稚園・保育園の送迎、習い事の送迎、短時間の預かり | 浜松市の例で1時間700円、送迎は燃料費が別途。利用前に顔合わせが必要です |
| こども誰でも通園制度 | 未就園児を保育所などに預ける | 2026年4月から全国で本格実施。0歳6か月〜満3歳未満、月10時間まで、就労要件なし |
| ベビーシッター | 自宅での保育、自宅と園の送迎 | 勤務先が導入していればこども家庭庁の割引券(1枚2,300円)が使えます。送迎だけの利用は対象外です |
| 家事代行 | 掃除、作り置き、洗濯 | 週1回でも家の回り方が変わります |
| 時短家電 | 食洗機、ドラム式洗濯乾燥機、ロボット掃除機 | 一度買えば毎日働いてくれる「頼り先」です |
| 冷凍宅食・ミールキット | 平日の夕食づくり | 「作れない日」用にストックしておくと心の余裕が違います |
ファミサポやシッターの料金・条件は自治体や会社によって違います。使う前にお住まいの市区町村や勤務先で確認してください。
組み合わせ方のコツは「シフト制」と「係決め」
サポートは、たくさん組み合わせるほど一つあたりの負担が軽くなり、長続きします。ポイントは、頼む相手ごとに役割をはっきりさせることです。
祖父母も「係」を決めて分担してもらう
祖父母が複数人いる場合は、一人にお願いを集中させず、シフト制にするのがおすすめです。たとえばこんな分け方があります。
担当 | 係 |
|---|---|
| 母方の祖母 | 月・水のお迎え係 |
| 母方の祖父 | 週末の公園係 |
| 父方の祖母 | 発熱時の預かり係(第一候補) |
| 父方の祖父 | 発熱時の預かり係(第二候補) |
係が決まっていると、頼む側も頼まれる側も迷いません。「今回は誰に頼もう」と毎回気をつかう必要がなくなります。
1週間の組み合わせ例
- 朝の幼稚園送り:ファミサポ(週2回)+自分
- お迎え:祖父母のシフト
- 平日の夕食:冷凍宅食とミールキットを交互に
- 掃除:ロボット掃除機+月2回の家事代行
- 買い物:ネットスーパー、足りない物はご近所と「ついで買い」
- 急な残業:近所の子育て仲間か、シッター
こうして並べると、一人でやっていることがかなり減るのがわかります。手配する手間はかかりますが、これも立派な「段取り力」です。
頼るときに大切なのは「お礼」と「当たり前にしないこと」
受援力は、ただ頼る力ではありません。気持ちよく頼り続けられる関係をつくる力でもあります。
- その日のうちに「ありがとう、助かりました」と伝える
- 祖父母には、ちょっとした手土産や子どもの写真・お手紙を添える
- ご近所さんには、こちらからも「ついでに何か買ってくる?」と声をかける
- ファミサポやシッターには、謝礼を気持ちよく、期日どおりに支払う
- 断られても責めない。「また次の機会にお願いします」で終える
反対に気をつけたいのは、「やってくれて当然」という態度です。お願いが続くと、つい慣れてしまいがちです。頼めることは当たり前ではないと意識しておくだけで、関係はぐっと長続きします。
まとめ:頼れる人がいちばん強い
仕事と子育ての両立に必要なのは、何でも一人でこなす力よりも、たくさんのサポートを組み合わせて上手に頼る力です。
- 頼り先を「人・制度・サービス・モノ」から複数用意する
- 祖父母やご近所には係やシフトを決めて、負担を分散する
- お礼をきちんと伝え、当たり前にしない
シンデレラのように、差し出された手を受け取る勇気を持ってみてください。まずは一つ、今週頼めることから始めてみましょう。






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